ミニグラフト

尋常性白斑に対するミニグラフト

<概要>

光線療法(エキシマライト)に対して尋常性白斑に対する治療法で、正常な皮膚から採取した1mm程度の植皮片を10個~100個以上、田植えの様に白斑に植える治療です。ミニグラフトを植えた白斑に紫外線照射をすることで、徐々に色素が広がって数ヶ月~1年で白斑を埋めていきます。白斑のグラフト(植皮)は以前よりあった方法ですが、1mm大程度のミニグラフトは比較的新しい方法といえます。

下口唇の尋常性白斑に対しミニグラフト後エキシマライト照射 症例写真ビフォーアフター

<症例写真>

30才台男性

下口唇の尋常性白斑(汎発型)

ミニグラフト

頭皮より1mm大の分層ミニグラフトを2回(20個、40個施行) 生着良好

UVB照射
エキシマライト1回/週 施行

紫外線への反応良好

<起こり得る主な副作用・合併症>

・ 出血

・ 感染

・ 移植部分の皮膚の隆起

・ 炎症後色素沈着や赤み

・ 生着不良

・ 再発 (一度色素の出現が確認できた場合でも色素の再脱出がみられる場合がある)

・ 皮弁壊死

・ ケロイド

Q&A

Q.どれくらいの効果を見込めますか?

A.ミニグラフトからの色素の伸びが良いばあいには大きな効果をあげますが、個人差はあります。
一般的には年齢が低い方が効果は高いのですが(子どもは高い効果を示します)、50-60歳でも効果を認めます。

Q.どのような白斑に効果がありますか?

A.尋常性白斑は3つのタイプに分類されます。
①限局型:小範囲の1~数個の白斑があるもの
②汎発型:顔や全身の広範囲に存在。 顔、首、背中、腰部、腹部、わき、下肢、手指などに頻発します。
③分節型:左右いずれかの知覚神経にそって白斑ができる
ミニグラフトは限局型や拡大の止まった分節型の白斑が適応になります。部位では頚部・顔面の方が効果的で、手などは効果が少ないようです。

Q.手術はどれくらいの 時間がかかりますか?

A.ミニグラフトの個数にもよりますが、
20個で30分程度+乾燥させるのに数10分必要です。入院の必要はありません。
100個になりますと1時間程度は必要です。

Q.ミミニグラフトの採取部はどこですか?

A.髪の毛の中や、そけい部から採取したミニグラフトを約1mmの植皮片に加工します。
小指の爪くらいの大きさの植皮片で、20個くらいのミニグラフトにになります。
髪を剃る必要はありません。禿げるのは一時的で、髪の毛がまた生えるように皮膚を採取します。

Q.紫外線療法は近所の皮膚科でも可能でしょうか?

A.エキシマライトやVTRACといった紫外線療法が可能ならどこの皮膚科でも構いません。もし、現在紫外線照射治療を受けている皮膚科があれば、そちらに通院可能です。当院より紹介状をを書きます。思い当たる皮膚科がなければ当院で紹介致します。

治療の流れ

①当院でミニグラフト

(1~2週間後)

②他の皮膚科で紫外線療法

Q.術後の注意点を教えて下さい

A.移植したグラフトがずれにくいように工夫をした固定をします。数日後には運動可能です。

Q.治療費は?

A.ミニグラフトは健康保険がカバーされない自費の治療です。
当当院の治療費は、20ヶで32000円 / 同日手術の追加20ヶ16000円(いずれも税別)
紫外線治療は保険診療(他の医療機関において)です。

Q.何個くらいミニグラフトを植えたらいいでしょうか?

A.平平均的には9ヶで約1cmの白斑をカバーします。広がり具合も個人差がありますので、まずは20個うけることをお勧めします。

白斑治療される皮膚科の先生方へ

紫外線療法に治療抵抗性の白斑の患者さんがおられましたら、当院にご紹介頂ければミニグラフトのみ致します。紫外線療法は貴院で継続下さい。

傷跡に対するミニグラフト

当院では、傷跡に対するミニグラフトを行っております。
通常の傷跡修正手術では消えない傷跡にお悩みの方はご相談ください。

Q&A

Q.何故傷跡にもミニグラフトが有効なのですか?

A.傷跡をぼやかして目立たなくする効果があります。

Q.対象となる傷跡は?

A.(手首)の多数の自傷瘢痕、顔の細い傷跡など

Q.どのような手術になりますか?

A.傷跡の近くからグラフトを行う方が色合いがいいですので、傷跡付近の皮膚をわずかに採取できればそれを細分化して移植するケースが多いです。剥離などを行いませんので、通常の瘢痕修正手術と比較して小さい手術で回復も速いです。